こんにちは、VPNナビ編集部です。
テレワークの定着やマルチクラウド化が進む中、企業の境界防御の要となるのが法人向けリモートアクセスVPNです。中でも市場シェアが高く、多くの企業で導入されているのが「Cisco AnyConnect(現:Cisco Secure Client)」と「FortiClient VPN」です。
どちらも高いセキュリティと安定性を誇る定番ソリューションですが、自社のネットワーク環境や運用体制によって「どちらを選ぶべきか」は大きく異なります。
本記事では、2026年最新の動向を踏まえ、両者の特徴を徹底比較します。
Cisco AnyConnectとFortiClient VPNとは
まずは、両ツールの基本的な特徴と位置づけを確認しておきましょう。
Cisco AnyConnect(現:Cisco Secure Client)
シスコシステムズが提供する、業界トップクラスの信頼性を誇るリモートアクセスVPNクライアントです。現在は「Cisco Secure Client」へとブランドが統合され、VPN機能だけでなく、エンドポイントセキュリティやクラウドセキュリティ(Cisco Umbrella等)との統合が進んでいます。大企業や金融機関など、厳格なセキュリティ基準が求められる組織での導入実績が豊富です。
FortiClient VPN
フォーティネット(Fortinet)が提供する、次世代ファイアウォール「FortiGate」と強固に連携するVPNクライアントです。FortiGateを導入している企業であれば、追加のライセンス費用を抑えて利用できるケースが多く、中小企業から大企業まで幅広いシェアを誇ります。コストパフォーマンスと導入の容易さが大きな強みです。
対応プラットフォームと接続安定性の比較
リモートワーカーが利用する端末や通信環境が多様化する中、マルチOSへの対応状況と接続の安定性は極めて重要な要素です。
| 比較項目 | Cisco AnyConnect | FortiClient VPN |
|---|---|---|
| 対応OS | Windows, macOS, Linux, iOS, Android, ChromeOS | Windows, macOS, Linux, iOS, Android, ChromeOS |
| 接続プロトコル | SSL/TLS (DTLS), IPsec (IKEv2) | SSL-VPN, IPsec (IKEv2) |
| 回線切り替え耐性 | 非常に高い(DTLSによるパケットロス軽減) | 高い(自動再接続機能あり) |
| 接続安定性 | Wi-Fiからモバイル回線への移動時もセッション維持がスムーズ | 安定しているが、環境により再認証が必要な場合あり |
接続安定性の実力差
両者ともに主要なOSを網羅していますが、接続の安定性においてCisco AnyConnectは「DTLS(Datagram Transport Layer Security)」を標準サポートしており、Wi-Fiの電波が不安定な環境や、新幹線・カフェなどのモバイル回線においてパケットロスを最小限に抑え、切断されにくいセッション維持を実現しています。
一方のFortiClient VPNも、FortiGateとの組み合わせにより非常に堅牢なトンネリングを提供しますが、ネットワーク環境が頻繁に切り替わるシーンでは、Ciscoの細やかなセッション維持能力に軍配が上がるケースが見られます。
管理者向け管理機能とセキュリティの比較
情報システム部門の運用負荷や、ゼロトラストセキュリティへの対応という観点では、管理機能の充実度が分かれ目となります。
Cisco AnyConnectのセキュリティ・管理機能
- 統合管理プラットフォーム: 「Cisco Secure Endpoint」などと連携し、VPN接続端末のセキュリティ状態(パッチ適用状況やアンチウイルスの稼働状況)を接続前にチェック(ポスチャー確認)できます。
- 多要素認証(MFA)の標準統合: Cisco Duoなどとの親和性が高く、厳格なアクセス制御を容易に構築可能です。
FortiClient VPNのセキュリティ・管理機能
- FortiGate一元管理: ファイアウォールとVPNクライアントのポリシーを一つの管理画面(FortiManager)で統合管理できるため、ネットワーク管理者の学習コストが低く抑えられます。
- 脆弱性スキャン: クライアント端末のOSや主要ソフトウェアの脆弱性をスキャンし、管理者にレポートする機能を備えています。
セキュリティポリシーの厳格さやエンドポイント全体の統合監視を重視するならCisco、ファイアウォールと一体となったシンプルなポリシー管理を求めるならFortiClientが優れています。
導入規模やコストで選ぶ法人向けVPNの判断基準
最後に、自社の規模や予算に応じて、どちらを選ぶべきかの判断基準を整理します。
1. 予算とコストパフォーマンスで選ぶ
- FortiClient VPNがおすすめな企業: すでに社内にFortiGateを導入している場合、無料版のFortiClientであれば追加ライセンスコストを大幅に削減できます(高度な管理機能が必要な場合は有料のEMSライセンスが必要)。初期費用を抑えてセキュアな環境を構築したい中小企業〜中堅企業に最適です。
- Cisco AnyConnectがおすすめな企業: ライセンス費用は比較的高価ですが、大規模な組織におけるライセンス管理の柔軟性や、高度なサポート体制を重視する場合は投資対効果が見合います。
2. ネットワークインフラの親和性で選ぶ
- Ciscoインフラ主体: シスコ製スイッチやルーター、クラウドセキュリティ製品で社内ネットワークが統一されている環境であれば、AnyConnectの導入が最もスムーズです。
- Fortinetインフラ主体: FortiGateを中心にネットワークを構築している場合、FortiClientを選ばない理由はありません。親和性とトラブルシューティングの容易さが格段に向上します。
リモートアクセス環境の見直しにあたっては、自社の既存インフラストラクチャや、将来的なゼロトラストアーキテクチャへの移行計画を考慮して選定を進めましょう。
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